未来をひらくDX人財育成プログラム
ドローン直播によるコメ作りの現場見学会のご報告(2025年5月11日)
2025年5月11日茨城県の農家の水田でドローン直播の現場を見学しました。日本イノベーション融合学会が創立10周年記念事業「未来をつくるDX人財育成」プロジェクトの企画の一つとして開催した「ドローン管理米直播見学会」です。前日に関東地方は雨、天候が危ぶまれましたが、当日は快晴の一日でした。会場は、10周年記念事業で実施した子どもを対象とした「ドローン操縦体験」で、パイロットとして子どもたちにご指導いただいた大塚さんの水田です。大塚さんはドローンパイロットでもあり、ドローンによる米作りに挑戦してきた農家でもあります。農業用ドローンの機体は意外に軽く10kg程度だそうです。機体の中心部にバッテリーを搭載し、種もみをタンクに積んで飛行します。満載すると10kg程度だそうです。プロペラ部分を展開すると8個のプロペラが円状に広がります。
会場の水田は大塚さんのご自宅から徒歩30秒ほどの至近距離にあります。水田には水が張られています。米作りの手順は、大きく分けて土作り、種まき・苗作り、田植え、稲の管理、収穫、乾燥・脱穀、精米という流れですが、直播では苗づくりの代わりに種を直接水田に播くので、苗づくりは不要で田植えの代わりにドローンが活躍します。稲の種には工夫がされています。種をそのまま播くと田には水が張られているので種が浮いてしまうことがありスズメなどに食べられてしまうので、種にコーティングを施して、適度な重さになるようにしているのでした。そうすることで、種が水面に浮いてしまったり、水面下にある田の土中に潜ってしまうことを防いでいます。国や各県の試験研究機関が、これまで試行錯誤を繰り返して見出した方法だと言います。まさにノウハウの結晶ですね。
閑静な田園風景の地域とはいえ、軽トラが脇の道を通過したり、人が歩いてくることもあるので、安全のために、ドローンパイロットの他に飛行を監視して「パイロット」に合図を送る「アイズマン」を配置する規則があり、「パイロット」と「アイズマン」はトランシーバーで会話をしながら直播作業を進めます。
水田の脇にドローンを運び、種を搭載しました。いよいよ飛行です。種がどうやって水田に播かれるか、気になるところでした。機体に取り付けられた白いタンクの下には円盤状の装置が取り付けられています。穴が開いていて開閉が出来るようになっています。リモコンから信号を出すことで装置の円盤が回転して、閉じた穴をあけるとタンクの中の種が回転しながら宙を舞って水田に播かれる仕組みになっています。種は円状に散布されますが、ドローンの飛行経路に沿って動くことで、水田全体にムラなく播種ができるというわけです。
直播作業はあっという間に終わりました。苗は各農家が自前でつくってきたのですが、近年は品種管理の問題などでJAが提供する苗を仕入れて使う農家が多くなっているそうです。ドローンによる直播では、どの程度の収穫があるのでしょうか。既存の田植えで行う場合と比較して8から9割くらいの収穫だといいます。
大塚さんはドローン管理米の先駆者的存在ですが、このような手法や様々なノウハウをオープンにしているとのこと、決して儲けのためではないが楽しい仕事と思っているようです。稲づくりは草や虫との戦いだと言います。ザリガニが畔に穴をあけると水田が決壊して水が抜けてしまうこともあるので、種が定着して稲穂が出てくるまでは監視は欠かせないようです。大塚さんは、少子高齢化や人口減の地域課題に農業の視点から新たなアイデアで挑んでいます。そのひとつを見せていただきました。リモコン操作で稼動する草刈り機です。ドローンで田植えを終えた水田の周囲の土手は斜めになっていて草はどんどん伸びてきます。バッテリーで走行し、草刈り動作はエンジンを回す方式で、人が歩く程度の速度で動きます。法面は45度くらいの斜度であればしっかり草刈りが進行します。ところで、今回のドローン、草刈り機ともに中国製だそうです。
綺麗になった水田を後にして、お昼をごちそうになりました。ドローン米で作ったタケノコご飯のおにぎりとお新香、そして青椒肉絲でした。
2025年5月11日 茨城県小美玉市にて IFSJ 広報
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